暗号資産ウォレットを作成するときに表示される「シードフレーズ(リカバリーフレーズ)」。
12語や24語の英単語を紙にメモして保管しますが、「どちらが安全なの?」と迷ったことはありませんか?
この記事では、BIP39規格の仕組みを踏まえて、セキュリティと実用性の両面から「12語 vs 24語」を比較・解説します。
そもそも【シードフレーズ】とは?
シードフレーズとは、ウォレットの秘密鍵を人間が扱いやすい英単語に変換したバックアップ用の鍵です。
このシードフレーズを使えば、ウォレットが壊れても別の端末で資産を復元できます。

一般的には「BIP39」という国際規格に基づき、2048語の単語リストからランダムに選ばれます。
シードフレーズの語数はセキュリティ強度(エントロピー量)に直結しています。
- 12語:128ビットのエントロピー
- 24語:256ビットのエントロピー
このエントロピーが、あなたの資産を守る暗号的な“強さ”を決めています。
12語と24語のセキュリティ比較
● 理論上の安全性
- 12語(128bit)
組み合わせは2¹²⁸通り(約3.4×10³⁸)。 - 24語(256bit)
組み合わせは2²⁵⁶通り(約1.16×10⁷⁷)。
どちらも桁外れの数値で、現代のスーパーコンピュータでも数十億年以上かかるレベルです。
つまり、12語でも現実的に破ることは不可能です。
● Foundation社の見解
ビットコイン専用ハードウェアウォレット「Foundation Passport」を開発するFoundation Devicesは、公式ブログで次のように述べています。
“12 words are the standard.”
(12語で十分なセキュリティを確保できる標準です。)
つまり、一般ユーザーが使うなら12語でも問題なしというのが、ハードウェアウォレット開発元の公式見解です。
「エントロピー」という言葉は難しく聞こえますが、
簡単に言うと 「どれだけ予測しづらいか」 の指標です。
例えば、
- じゃんけんの「グー・チョキ・パー」=エントロピーが低い(3通りしかない)
- 12語のシードフレーズ=2¹²⁸通り(約3.4×10³⁸)もの組み合わせ
この「ランダムさ」が多いほど、推測されにくく、暗号的に安全になります。
つまり、エントロピーが高い=破られにくいということです。
12語のシードフレーズでも、現代のスーパーコンピュータで総当たり攻撃をしても数十億年以上かかります。
そのため、実用上はすでに「十分すぎる」安全性があります。
誤解されがちな点:「公開鍵から秘密鍵を解析できる」
「ハッカーは公開鍵から秘密鍵を解析する方が簡単」といった記述を見かけますが、これは誤りです。
暗号資産の安全性を支える「公開鍵暗号方式」は、
数学的に“片方向関数”と呼ばれる構造を持っており、逆算は事実上不可能です。
したがって、公開鍵から秘密鍵を推測する攻撃は現実的には成立しません。
シードフレーズを総当たりで破る方が“はるかに非現実的”です。
24語は本当に不要?実用面での違い
理論的には24語のほうが強固ですが、実際には次のようなメリット・デメリットがあります。
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 12語 | 手軽・書き間違いが少ない。スマホウォレットにも最適。 | 理論上は24語より安全性がやや低い。 |
| 24語 | 長期保管や大口資産に最適。より高いエントロピー。 | 入力や保管の手間が増え、ミスのリスクも上がる。 |
つまり、一般ユーザーは12語で十分安全。
企業・長期投資・遺産管理など「絶対に失えない資産」を扱うなら24語を選ぶ、という判断でOKです。
実際に危険なのは「ハッキング」より「紛失」
シードフレーズを破られるよりも、自分で無くしてしまうリスクの方がはるかに高いです。
事実、ビットコイン全体の約30%(600万BTC超)が、シードフレーズ紛失によって永久に動かせなくなっていると推定されています。
🔒 安全な保管方法
- 紙に書いてオフラインで保管する
- スクショやクラウド保存は厳禁
- 金属プレート(耐火・耐水)への刻印もおすすめ
- 家族や信頼できる人に保管場所を共有(相続対策)
「取引所に置きっぱなし」も危険
ウォレットを自分で管理するのが怖くて「取引所に預けっぱなし」という人も多いですが、
実はそれも大きなリスクになりえます。
過去には以下のようなハッキング事件が発生しました:
| 取引所 | 被害額 | 発生年 | 被害内容 |
|---|---|---|---|
| Mt.Gox | 約5億ドル | 2014年 | BTC |
| Coincheck | 約5.3億ドル | 2018年 | NEM |
| Ronin Network | 約6.1億ドル | 2022年 | ETH, USDC |
| FTX | 約6億ドル | 2022年 | BTC, ETH, SOL など |
取引所は便利ですが、あなたの資産を他人(企業)が持っている状態。
倒産やアカウント凍結、ハッキング時には資産を失うリスクがあります。
自分で守るためのおすすめハードウェアウォレット
仮想通貨を保存しておくのにおすすめのハードウェアウォレットをご紹介します。
Ledgerシリーズ

フランス Ledger(レジャー)社のハードウェアウォレット。
多くの種類の暗号資産を保存でき、日本で最も人気があるハードウェアウォレットです。
・Ledger Nano S Plus
・Ledger NanoX
・Ledger Nano Gen5
・Ledger Flex
・Ledger Stax
など複数機種がありますが、
おすすめはLedgerNanoGen3です。
BitBox02 Nova(ビットボックス02)

スイス Shift Crypto AG社のハードウェアウォレット。
世界で最も人気のハードウェアウォレットです。
ビットコインしか保管できない『Bitcoin-only edition』
複数種類の通貨を保管できる『Multi edition』
があります。
まとめ:12語で十分。ただし「保管ミス」が最大の敵
- ✅ 12語でも現行技術では解析不可能
- ✅ 24語は理論上より安全だが、実用差はほぼなし
- ⚠️ 最大のリスクは“自分の管理ミス”
つまり、セキュリティを上げるより「間違えない」ことが一番の防御です。
あなたの資産を守るのは、長いフレーズではなく「正しい管理」です。


